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岡田直人さんインタビュー


岡田直人

私の6点 岡田直人

岡田直人さんに、独立以来作っているものの中から、印象的な6点を選んでいただき、それぞれへの思い、作り手としての工夫や使い方などを伺いました。
複数のうつわが時間軸で並ぶことで浮かんでくる岡田直人さんの仕事物語です。



花田:  この丸型ポットは独立当初から作られています。(以下 花田-)

岡田直人

岡田: 独立して数年の頃です。
独立したきっかけは良い土との出会いで「その土をどう活かすのか」という問いに対する答えの一つがこのポットでした。
オーソドックスで、使いやすいもの。 例えば紅茶でも日本茶でもいけるようなものを、と。
汎用性です。 これの後も色々作りましたが、結局残った形がこれです。

-: その土のどういった特徴を活かしたのですか。

岡田: 細工がしやすいんです。
茶漉し、注ぎ口、取っ手…ポットには細工が多いので。

-: 多くの中からこの丸ポットが残った理由とは何だったのでしょうか。

岡田: 作っている人間も、作っていると飽きてくるんです(笑)。
でも、これは飽きない。
デコラティブなものは、自己主張を感じさせるものになってしまい、見る側も作る側も嫌になってしまう。 日常の中にあって、あまり印象に残らないようなもののほうが、ストレスなく使えるんだと思います。

-: かたちのヒントは古いものにあったのですか。

岡田: 丸い形に関しては昔の中国のオーソドックスなかたちですが、サイズや取っ手、蓋は現代のものを意識しています。

-: 取っ手は丸く。

岡田: 丸だと、どの角度でも持ちやすい。
凝った形だと、ここでしか持てないとか、この持ち方でしか持てないとかってなるのですが、丸だとどうとでも持てるんです。

-: そして、注ぎ口。
ポットの「使いやすさ」に対する評価を大きく決めるパーツです。
水切れを良くする方法って色々あると思います。

岡田: 大事なのは、この注ぎ口のカーブです。
あと、この返しの部分。 ここでピッと切った上で戻す。
この丸ポットはかなり良い感じです。

岡田直人

-: 試行錯誤を重ねて実現したのですね。

岡田: いや、偶然です。
「あれ?できちゃった…」みたいな。

-: (笑)

岡田: あとから他のポット作っていくうちに、このメカニズムを説明できるようになりました。
このポットは球形ですので、水の流れが一定です。 それなので戻すときも安定しているんです。
注ぎ口も先に向かって細くなっているので、勢いがついて戻りも早い。
ダラダラと戻ってこない。

-: 出掛けていくのも速いし、帰ってくるのも速いと(笑)。 色々な要素があるのですね。
このポットはご自身でも使っていらっしゃるのですか。

岡田: 10年くらい使っています。毎日、日本茶、たまに紅茶です。
僕はこの貫入が入った感じ、大好きです。

岡田直人

-: こんなになるのですね。



-: 続いて、リム深皿シリーズ。

岡田: 僕の中では定番中の定番で、12、3年前から作っています。

岡田直人

-: これは用途から入って作り上げたように見えます。

岡田: スープなどに使えるうつわを作りたくて、ロクロを回しながら、かたちを作っていきました。
径を日本のテーブルサイズに合わせることと、適度な深さを意識しました。
あと、見込みからリムへ折り返す部分を、少し入り込ませているイメージなんです。
これは手作りならではです。

-: 使いやすい大きさ、かたちに仕上がりました。

岡田: リムは日本人だから手に取ることもイメージしました。
立ち上がりはすくいやすさ、深さは盛り栄えを考えながら…。

-: 大・中・小と3サイズあります。

岡田: 最初は、このSです。
サイズ展開を楽しんでいた時期で(笑)、色々作りました。
今まで作り続けているのがこの3つです。

-: 岡田さん自身は、どんな風に使っているのですか。

岡田: ロールキャベツなんかには最高です。
なんかこう、ザクザクやって、そのままスープも飲めるじゃないですか。具もすくうでしょう。
パスタでも良いし、何にでも使えます。

-: リムがあると、パスタを盛っても格好よく決まりますよね。

岡田: お客様からは和食でもいけるって言われます。
気兼ねなく使えるし、あまり考えて食器選ばなくても使えるって言われます。
僕にとっては、とても嬉しい褒め言葉です。

-: 八角皿。

岡田直人

岡田: フランスの古いカップ&ソーサーのソーサーがヒントになっています。
ヨーロッパでこのサイズの皿はないと思います。

-: ソーサーだからこの大きさなのですね。

岡田: 日本では取り皿として使えるサイズです。 これ、指が入りやすくて持ちやすいんですよ。
ヨーロッパの食器はもう少し寝るんですが、手に取る皿なら立ち上がりはこれくらいあったほうがいいと思います。

-: 縁をちょっと上げていますよね。 見た目のしまり、ということでしょうか。

岡田: しまりもありますし、持ったときの引っかかりもあります。

-: 岡田さん自身は、これを何に使っているのですか。

岡田: 取り皿です。 酢の物でも、お菓子でも…小さめのケーキも合うと思います。
大きいほうは盛皿にも使えます。

-: 次は長角皿。

岡田: ベースはフランスの磁器です。
元のは高台がついているんですが、敢えて排除してみたら、意外と面白かったっていう…。

岡田直人

-: 高台が無い方が軽やかで良いですね。

岡田: このかたちは盛り映えもとても良いですし、この深さも好きです。

-: ドーンとやってもいいし、上品に盛り付けても、しっくりいきそうです。

岡田: インスタグラムなんかを見ると、皆さん、とてもうまく使ってくださっていて、勉強になります。
ワンディッシュでも使えるし、このサイズにうまくまとめられています。

-: 確かに、朝ごはんやランチのワンプレートに丁度いいですね。
そうそう、以前は作るの苦労されていましたよね。

岡田: 反ったり、歪んだり…。習得するのに2-3年かかりました。
タタラ板を作るところから始まって、型へあてるときの力の加え方、窯への入れ方…。
土との意地の張り合いですよ(笑)。
うまくいかないと、全工程を逆算して、工程の中身や組み合わせを変えたり…。
各工程で土のクセを取っていかないと、最終的なひずみのきっかけになってしまうので。

-: 以前、僕が注文しようとしたときの岡田さんの困っている表情を思い出します。

岡田: (笑)。
最近は、これを作るのが楽しく思えるようになりました。

-: で、最近凝っているという、このカップ。

岡田直人

岡田: 2-3年前に作り始めました。 真ん中の小さいのが最初に作ったものです。
僕自身も毎日使っています。 番茶、コーヒーは勿論、料理でも。
緑が映えるので、お浸しなどにもオススメです。

-: 縁が印象的です。

岡田: 口当たりをよくするためにアールをつけていますが、結果としてアクセントになっています。 上唇の抜けもいいんです。

-: 上唇の抜けまでは考えませんでした(笑)。

岡田直人

岡田: 気持ち良いんです。

-: 確かに、ツルッと抜けていく。

岡田: 切れもいいんです。
ずっと飲んでいると、飲み後が汚れてくることありますが、これはきれいに飲めます。

-: 岡田さんの気遣いにあふれたカップですね。

岡田: 手作りならではの造作だと思います。

-: たしかに唇が何回触れるか分かりませんからね。

岡田: 毎日、毎回、良い感触が実現したら、気持ち良いだろうなと思って、意識するようになりました。 その末の、このカーブです。

岡田直人

-: 装飾のためだけのカーブではないので、飽きも来ませんね。

岡田: 装飾や見た目だけのために手を加えることもあるんですが、それだと作っている内に違和感を感じ始めたり、自信がなくなってきたりするのですが、これはその心配は無いと思います。

-: そしてもう一つの八角皿。

岡田直人

岡田: 新作です。
フランスのアンティークがヒントになっていますが、それを手に入れてからカタチにするのに10年も掛かってしまいました。

-: 独立して数年後、といった感じですね。
どちらで見つけたのですか。

岡田: 南恵比寿のエクリチュールです。
よく見てはいたのですが「まあこのあたりで買っておくか」って感じで買っておきました。
持って眺めているだけでも、発見することは多いので、気になったものは全てその場で買うようにしています。

-: 欲しくなってから探しても、なかなか見つからないものです。
それまではそこら中にあったような気がするのに、いざ探し始めるとどこにもない。

岡田直人

岡田: そうそう。
でも実は今、そう思って集めてきたものが山積みになっていまして…。
少しずつ消化してはいるのですが、追いつきません(笑)。 色々試しながらなので…。
これも最初ロクロで作っていたのですが、しっくり来なかったので、板作りにしました。

-: てっきり、ひきうちかと。

岡田: この八角皿は、ロクロで引いて手作り風のうねりを出したくなくて…。
ピシッといきたかったんです。

-: 確かにこの皿に円方向の動きは似合いませんね。
最初からこういう大きさにしようと思っていたのですか。

岡田: デザートプレートみたいなイメージです。

-: ティラミスなんかに良さそうです。
深さに何か意図はありますか。

岡田: サラダプレートなどとしても使えるように。

-: この大きくて深いほうは?

岡田: パスタ…そんな感じです。

-: こうやって、昔からのものを振り返ってみると、懐かしくなるのではないですか。

岡田直人

岡田: 「変わっていないなぁ」というのが実感です(笑)。

-: 色々なかたちは出てきましたが、ベースは変わらないのですね。
表現は少しずつ変わりますが、岡田さんは仕事に対する考え方もそんなに変わりません。

岡田: 技術が大きく向上したわけでもないし、道具に対する思想もずっと一緒なので、変わるはずも無いのですが…。
正直、安心しました。

-: 無理なく仕事をされているからなのかもしれません。

岡田: あらためて「自分の仕事は自己主張のための仕事じゃないんだな」って実感しています。 主張していると、しんどくなってくるんです(笑)。
僕の場合、道具作りへの特化に意識を使っているほうが健全でいられるのだと思います。

-: 健全だからこそ、継続できるのですね。
「ぶれていない」とも言えます。

岡田: そんな格好のいいものでもありませんよ(笑)。
単純に「ちゃんと使えるもの」を一生懸命、目指しているだけです。

岡田直人

-: これから20年後、30年後、今のように振り返ったとき、同じように思えるとよいですね。

岡田: かたちなど、見た目は変わっていくと思いますが、意識は変わっていたくないですね。
今と同じような意識や気持ちを持っていたい。そう思っています。

-: 有難うございました。
岡田直人

企画展

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