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作者インタビュー 岡田直人


九谷青窯から自分の白へ。

花田: 岡田さんが陶芸、それもうつわ作りを志すことになったのは?(以下 花田-)

岡田: 物心ついたときから、作ることすべてに興味がありました。
父親は建築業であったし、母親はミシンの達人でした。
そういう家庭環境も後押ししてくれたのでしょう。
で、美大志望だったので、入試準備の為に、10代はデッサンを中心に絵ばかり描いていました。

-: どんな絵が好きだったのですか?

岡田: ルドンが好きでした。パステル調で空を描く人で、淡いピンクや水色で描くんです。
きれいな絵を描くんですけど、極端にグロテスクな絵を描いたりする。
そのコントラストにも惹かれるんですが、僕は淡いのが好きです。
そういうわけで、最初、イラストの勉強していたんですけど、どうもしっくりこなくて。
で、焼き物に目を向けてみると、歴史や伝統といったものを感じるし、
個人レベルでも技術や経験の積み重ねが出来る。

-: しばらくして、九谷青窯の秦さん(九谷青窯主宰)に出会う。

岡田: 当時の僕、生意気だったんです。
「最初からロクロさせてもらえなきゃ嫌です」って言ったんです。
そうしたら秦さん「いいよ、やれよ」って。
そんな風に受け入れてくれるの秦さんくらいですよ。
そのあと、寿司屋さんに連れて行ってくれて・・・その時食べたほたるいかが美味しすぎて・・・
それも決め手になりました(笑)。日本海の魚は違いますね。
こんな美味しいものを当たり前のように食べている人に、食器づくりで敵うわけないな、って
衝撃受けました。

-: そして九谷青窯におよそ10年。

岡田: 本当に沢山のことを学びました。
中でも、淡々と数をこなしていく仕事をさせてもらったのは良かった。
数作る中で自己表現をできるだけ消していって―うまく説明できないんですが―その中から
生まれてくる数仕事の匂いっていうんですかね。
これを知ることが出来たのは本当に感謝しています。

-: 数仕事の匂い・・・どんどん作っていくうちに出てくる、手馴れ感のようなものですか。
その作っている場の空気も含まれる気がします。

岡田: そうですね。数仕事の匂いって、ずっと同じもの作っていって、よくよく見ると匂いが
あるような感じ。プレーンなものを作っていても、それはあります。
あの感覚が僕は大好きで。

-: 青窯は材料にも過度にこだわることはしません。

岡田: そうですね。
あと、材料どうこうで趣を出すのは、秦さんの目指すところではないんだと思います。
それは材料ではなく作家の仕事である、と考えているんだと思います。
だから、土に鉄粉混ぜるとか、焼き方変えるとか、ちょっとマットにするとかっていうのは、
秦さん嫌がるだろうなあ(笑)。
確かに一理あって、作家が自分の意思を材料に詰め込み始めるときりがないんですよ。
道具の部分というのがスーッと消えていってしまう。
普段使いの食器に取り組む人間がそっち行っていいのかっていうと、
それらは外していかなければいけないんです。
九谷青窯の仕事っていうのは、そういう見方をしていくと非常に面白い。
あそこは素材選びにしても、やり方にしてもとにかくシンプル。
当時、僕には味気なく感じる部分でもあったのですが、そこに身を置いたことで、
無臭の世界と匂いのする世界をそれぞれ分かった気がして、よかったです。
今、ちょうど中間にいるような感じです。

-: うつわには、作る場所、選ぶ場所、使う場所があって、
岡田さんも秦さんも、使う場所を大切にしています。
うつわを作っていく手順も、この生活様式で、この住宅で、この食卓で、この料理で・・・
こういううつわなら・・・いい雰囲気が出そうだなっていうヴィジョンを持って、
自分の持っているスキルや知識を選択しながら、作業に入っていくのかなって思います。
あと、岡田さんの仕事見ていて思うのは、あまりご自身の過去の仕事にこだわりませんよね。
どんどん、前に進んでいく。

岡田: 僕、あまり過去は見ないです。それは青窯のおかげです。
自分がいた時の話しかできませんが、青窯のみなさんは、技術に執着しないだけの技術を持っ
ているんです。スコンスコン捨てて、新しいものを作ろうと思えば作れるんです。
僕はそこまでではないと思いますが、そういう姿勢に慣れてしまいました。
そこまで数の仕事をさせてもらえる。
いる時はしっくり来ていなかったんですが、独立後、その恩恵をヒシヒシと感じました。

作り手の匂い

-: 独立後、岡田さんの仕事は、通じて主にヨーロッパのものをベースにしていますよね。
特にデルフトの焼き物の魅力とは、岡田さんにとってどのようなものなのですか。

岡田: デルフトそのものを勿論好きですし、その背景にも僕は惹かれています。
このデルフトの時代って言うのは、まず中国の焼き物にヨーロッパが影響を受けて、
ヨーロッパ人がテーブルウエアを模索した洋食器の第一号だったらしいんです。
だから日本人の食器作りとニュアンスが近い。
プロダクトになる前のギリギリのポイントなんです。
また、用途で言えば、現在の食文化は欧米化していますし、料理が合いやすいスタイルである
ともいえる。ただ、僕自身、洋とか和とかっていうのはそんなに気にしていないんですよ。
和も好きだし、洋も好き。使えるものならなんでも好き。

-: ヨーロッパのものだけでなく、古伊万里の香炉や瀬戸の注器も模してもらいましたものね。岡田さん、古いものも、好きですよね。焼き物だけじゃなく、アトリエ見ていても、
色々なものを集められている。

岡田: 小さい頃からです。錆びたものが好きで、よく拾っていました。
あと、石。ここにあるようなこういう石が大好きで、いまだに海行って拾っています。
石って、人間の手が加わっていないけど、キレイですよね。
僕は人が作ったものでも、その人が作ったという匂いが消えているものが好きなんです。
作家臭みたいなものには人一倍抵抗があるのかもしれません。
自分は土に人口的に匂いをつける作業をしているわけで、
石を拾うのは、その匂いを消す作業でもあるのかなって言う風に考えています。

-: 仕事に対する支えになっているのでしょうか。

岡田: 自分の仕事を純粋に見られるようになる気がします。
石川県ってきれいな石が多いんですよ。

フラットな感覚でつくる

-: さて、岡田さんが仕事をする上で大切にされていること、ありますか?

岡田: モノに執着しないこと。そして、心も体もフラットでいることです。

-: フラットとは?

岡田: 病気になるとどちらも偏るじゃないですか。
無理にでもフラットな状態にもっていく努力をする。
その上で、ものづくりに取り組める。
フラットな状態で生活をする中で、苦しんだり楽しんだり、悲しんだりもしながら、
その状態でモノを作りたいだけなんです。

-: ニュートラルとも、無感情とも違います。色々ある中で、揺れながらも支点がずれない
ヤジロベイのように。

岡田: 極端な生活をしていると、多分極端なものになってしまう。
フラットに生活をしている中で出来あがるものが普通に使う分にはちょうどいいのではない
でしょうか。

-: 岡田さんの仕事、最近、柔らかくなってきているなって思うんです。

岡田: それこそ、独立した当時って、偏っていたんだと思います。
独立当初は一生懸命やらないといけないから、無意識のうちに角立てる、エッジ立てるって
ことをしていたんだと思います。

-: そういう時期には角立てないと、見てもらえないという部分もありますからね。

岡田: あの時代を思えば、松井さんが言うように、ピリッとしたものが好きでした。
今は、うつわに無理をさせないように、と考えています。

-: 今後について何か考えていらっしゃいますか。

岡田: 力ずくで自分の未来変えられるわけじゃないんで、目の前のことに100%努力して
いきます。目の前にあるもののクオリティーを上げ続けていきたいなって。

-: 岡田さんの言うクオリティーとは?

岡田: ひとつのものを作って、どれだけの方々がそれに対して納得して使ってくれるか、
そういう世界なのかなと思っています。そのためにも、ものの完成度といいますか、
道具としての価値を高めていく。
例えば、手に取ったときのうつわ全体のボディーバランスですかね。
昔のロクロの上手い人の焼き物ってみんなそんな感じなんですよね。ロクロのフラット感。

-: ただ軽いわけでもなく、重心が下に来ていてどっしりくるってわけでもないあの感じ。

岡田: えぇ、ろくろと素材のその感じ。
日本人は手にとって使うので、手取りやボディーバランスは大事です。
それは轆轤でひいてどれだけ削るかとか、縁にどれだけ厚みを持たせるか、
道具として成り立たせるために、どれ位強度を上げなきゃいけないのか、っていう
総合的なもので、バランス感みたいなもの。
例えばカフェオレボウルでもそのボディーバランスで大きくその雰囲気は変わってくる。

-: 見た目は変わらなくても、持っているものの中身ですよね。

岡田: 本質の部分なんだと思います。

-: 新たなものを作るとき、岡田さんの場合どんな風ですか。

岡田: 盛って美しいかどうか、そして盛りやすいか、あと多用性。それらを総合的に考えて、作ります。

-: さて、今度の伊藤聡信さんとの二人展、宜しくお願いします。

岡田: はい。ベーシックなもののクオリティーを上げていきたいし、
遊びも持たせたいとも思っています。
伊藤さんとも一緒になるのは初めてなので、楽しみです。

-: 相性、いいと思います。宜しくお願いします。





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