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稲村真耶さんインタビュー


稲村真耶さんインタビュー

なます皿が増える

-:今回の企画展に向けて、魅力的な新作を色々と作っていただきました。
なます皿のバリエーションも増えましたね。

稲村:ここのところ、なます皿をしょっちゅう使っていて、盛り付けやすさとか、
まとまりやすさとか、とても使いやすいサイズ感であることを実感しました。
それで、バリエーションを増やそうと思って、新たに3種類作りました。

-:具体的には幅15㎝か15㎝弱、高さは高台入れて4.5cmくらいで、
見込みはフラット…でしょうか。

稲村:そういうのが多いですね。

-:皿と鉢の中間みたいな。

稲村:そうです。和え物でもいいし、汁気があっても大丈夫だし、真ん中に盛れば格好良く見えるかなって。

-:最初に作ったなます皿はどれでしょうか?

稲村:この青いなます皿です。
昔からよく見る形ですし、一番ベーシックなのかなと思って。
最初、絵柄はシンプルな花一つだけ入れて、作ってみました。
次に、虎です。こうやって、意外と遊んだものでも、結構受け入れられたので、よかったなと思います。

稲村真耶さんインタビュー

-:稲村さんの「虎」は久しぶりに見た気がします。
稲村さんを知ったのは、虎の絵がきっかけだった覚えがあります。

稲村:最近、猫を飼い始めて、間近で猫を見ていたら「虎もいいよね」ってあらためて思うようになりました。

-:虎の何が、好きなのでしょう。

稲村:肉食獣なところ。

-:「肉食獣な」というと(笑)?

稲村:動物園行ったら、まず肉食獣を見に行きませんか。力強いし、見ていて楽しいですよね。
それに、その辺にいないし。

-:そういうことですね(笑)。

麒麟は昔から好きでした

-:続いて、この八角です。
古伊万里を見ていただきました。

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稲村:麒麟、面白いですね。

-:うつわ全体のかたち、筆の細やかさ、構図の取り方…、先人の凄さを実感しました。

-:構図、面白いですね。

稲村:真ん中に麒麟がいること。それと、この草が周りに来ている不思議さ、でしょうか。
麒麟となんの関係があるのかと。

-:そういう組み合わせ、和食器ではよく見ます。

稲村:頭で考えていると出てこない発想ですが、絶妙にマッチしているじゃないですか。
すごいなって。

-:実際描いてみて、いかがでしたか。

稲村:躍動感のある麒麟と、周りの柔らかい感じの草花をバランスよく対比させるのが難しかったです。
あと曲線の出し方―例えば、葉脈とか…難しいと思いました。

-:自分なりに変えてみたところなどはありますか。

稲村:後ろ側は、ちょっと変えました。軽い感じにしたくて。

-:そうですね。元は、若干ごついです。

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稲村:あとは、麒麟の雰囲気を写し取れたらいいなと。

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-:麒麟、好きになりましたか。

稲村:麒麟は昔から好きでした。

-:これの話も、少しお願いします。古伊万里でよくあるパターンですね。

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稲村:よくある形も自分で作ってみたかったので、やってみました。
縁をフラットにしたら、可愛くなり過ぎずよかったかなと思います。

俵型のコロッケを

-:続いて楕円のお皿です。
これはフランスのアンティークを見ていただきました。

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稲村:最近、フランスのうつわなどと日本のうつわに、ルーツの同一を実感します。
一見、違いますが、似ている部分も少なくないなって。
フランスのものにも、日本料理は合いますし。

-:元より、少し浅くしてくれました。

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稲村:はい。アスパラガスなんか合いそうだなと思って。
長いまま載せられます。

-:こっちはホワイトアスパラ。こっちはグリーンで。

稲村:これ、サイズ感が絶妙ですよね。
俵型のコロッケとか合いそうな気がしますけど。

-:二つか三つくらい並べると、可愛くおさまりそうです。

稲村:この縁の羽みたいなのもかわいいですね。

-:そうそう、それがおしゃれです。

稲村:かわいいだけじゃない感じがいいなと思います。
こういう雰囲気が出したいですね。

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もうひとつの楕円皿

-:じゃあ次は大きくて深いほうの楕円皿です。

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稲村:シンプルな形ですが、難しかったです。
この縁の装飾の部分を悩みましたが、そのまま残しました。

-:何もないと、つまらなくなりそうですね。

稲村:ありきたりになる気がして。

-:ですね。

稲村:でも、あれ、多分装飾というよりは、強度確保のためだと思います。
フラットなままだとゆがみやすいのではないでしょうか。
で、厚みを出すために、折り返してもあるし、そういうのも分かって面白い仕事でした。

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-:使い勝手もよさそうに仕上がりました。

稲村:ハヤシライス。パスタもよさそうです。

-:お嬢さん、カレーはまだですか。

稲村:いまは、アンパンマンカレーです(笑)。

じっくりと使えるもの

-:筒について。たまに絵を描きたくなるのですね。

稲村:たまには、書き込んだものを書きたくなるんです。
模様は、古伊万里を中心に色々な所から借りてきました。
幾何学文だけでなく草花も入れました。
いつもの普段使いのような雰囲気ではなく、じっくり使えるようなものを目指しました。

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-:何かに使われましたか。

稲村:焼酎のお湯割りです。

-:ご主人、焼酎なのですね。

稲村:いえ、私が(笑)。

-:失礼しました(笑)。

稲村:主人は、焼酎もぐい飲みで何杯も行くのが好みです。

-:その筒は稲村さんのスタイルなのですね。

稲村:はい。

鳥には失礼ですが…

-:今は、絵をかくの、楽しそうですね。

稲村:楽しいですねえ。前より筆に慣れてきたというか、書きやすくなってきました。

-:なぜですか。

稲村:年月だと思います。いろいろやっているうちに。
書きたいものは変わりませんが、書けるものは増えてきました。
特に、昔は動物が苦手でした。
鳥なんかのほうが書きやすかったのですが、最近は四つ足も描くようになりました。
四つ足はバランスが難しいです。

-:動きも出てきますしね。

稲村:ポーズも色々ですし。
鳥は、まあ…鳥に失礼ですけど、簡単なんですよ。

自由な状態に戻るとき

稲村:これは子供が生まれてから意識して作ったうつわです。
高台を広く取って倒れにくく、全体の雰囲気は可愛さを意識して、作りました。

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-:いつ頃作ってあげようと思ったのですか。

稲村:お食い初めの時です。

-:お子さんの反応はいかがですか?

稲村:今3歳なのですが「自分のご飯茶碗」という意識を持っているようです。
食器棚から自分でそれを持ってきてご飯を食べています。

-:自分で持ってくるのですか。すごいですね。

稲村:食べることが全てなんです、彼女は。

-:そのへんちょっと似ていると(笑)。

稲村:ちょっと似じゃないです。そっくりです(笑)。

-:お子さんの誕生は、稲村さんのうつわ作りに影響を与えましたか。

稲村:心が自由になりました。
以前は、自分でいろいろ決めてしまっていた気がします。
これは焼き物の原則から外れるなとか、これは描けないなとか…。

-:やる前にいろいろ決めなくなったと。

稲村:一応やってみてから、考えようかなって。

-:お子さんの何を見て、そう思ったのですか。

稲村:頭では考えずに、色々なことを吸収しているわけですけど、小さいうちは生命そのものっていう感じですよね。
決めごとが何もないし…、自由っていいですよね。

-:そのうち、お子さんが自由じゃなくなっていくのかもしれません。
いろいろ知ってしまって。
そうしたら「自由でいいんだよ」なんて、稲村さんから声をかけることに…。

稲村:言いますかねえ(笑)。今、こんな話をしていること、覚えていられるか…。

牧野富太郎さんの絵

-:最初に会ってから7-8年経ちます。制作の幅もずいぶん広がってきました。
もともとは白磁と染付、瑠璃…。文様のバリエーションも広がってきました。

稲村:これからも、広げていきたいです。まだ、絞るのには早すぎるかなと思っていて。

-:あの麦文なんかも、今までにないようなやり方だなと思っていました。

稲村:あの辺のバランスもフランスの食器なんかをイメージしています。

-:文様が散っているところですね。
植物といえば…あの壁に貼ってあるのは牧野富太郎さんですか。

稲村:いや、これは外国のです。

-:失礼しました。

稲村:でも、牧野富太郎さんは好きで、練馬の記念庭園には行きました。

-:植物に対する思いに溢れていて…。
ああいう、もともと絵をかくのが仕事じゃない人の絵には独特の魅力があります。

稲村:根っこまで、植物の全貌が描かれていますよね。
イメージじゃなくて、事細かにそのままが移されている。
実際のものだけど、実際ではない気がするんです。
逆に実生活では、種まで、そんな詳しく見ないですよね。

-:普段、頭の中で捉える画像は、普通の絵のほうが、近いです。
牧野さんの絵は、現物に対してリアルに描いたがゆえに、却って僕らの記憶に対してはリアルじゃなくなっていますね。

稲村:その感じが好きなんです。

-:ご自身の絵付けに何か影響を受けていますか。

稲村:まだ、活かしきれていないです(笑)

-:活かしきれていないものがたくさんあって、これからが楽しみですね。

現役の人の仕事を追う楽しみ

-:企画展に向けて。

稲村:自分が今、面白く感じていることをお客さんに見てもらえたらいいなと思います。

-:楽しいことも色々変わりますよね。つられて作風も変わっていく。
それが今生きている人の仕事を追う楽しさの一つだと思います。

稲村:そうですね。これからも変わると思います。

-:有難うございました。



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