阿部春弥さんインタビュー2020


ラグビー”ボウル”

花田:当展示会出品の新作について阿部さんにお話を伺いたいと思います。
まずはラグビーボウルですね。
「ボール」ではなく「ボウル」です。(以下花田-)

阿部春弥さんインタビュー2020

阿部:貸してくださったアンティークより少しサイズダウンしています。
楕円の先に向かって上がっていく豊かなカーブの楕円ですよね。

-:軽やかに仕上がりました。
縁も凝っていますね。
釉がたまるように。

阿部:元のアンティークにはありませんが、アクセントにしようと思いました。
白、黄磁、もえぎは、たまった部分の色が濃く出ますが、淡ルリやルリはラインが濃淡反転しますので、それによってうつわの印象も変わるのを面白く感じています。

阿部春弥さんインタビュー2020

-:料理は何かイメージをお持ちですか。

阿部:こういう大きなうつわが家にあるのは、とても安心感があるなと思っていて、サラダを盛ってみんなで取り分けたり…。
食卓のメインとして、真ん中にドンと置けるようなうつわかなと思います。

黄磁はエスニック

-:阿部さんご自身は何色が好きですか。

阿部:個人的には白ですけど、黄磁にエスニック風のゴロっとした料理をザクっと盛り付けたら格好いいだろうなとも思います。

阿部春弥さんインタビュー2020

-:エスニック系ですね。

阿部:僕の中で、黄磁はエスニックという…(笑)。

-:そういうことなんですね(笑)。

阿部:なんかね…、黄磁にカレーってすごく合うなって思うんですよね。

-:ところで名前についに「ラグビー」が出てきましたね。
待っていました!菅平、同じ上田市です。

阿部:かたちがもう、それですから。

-:(笑)。

阿部:今はないんですけど、本当にこういう形の、ラグビーボールを半分に割った鉢でラガーラーメンというのを出すお店が菅平にあったんですよ。
懐かしく思い出します。

阿部春弥さんインタビュー2020

高麗青磁の小鉢をお皿に

-:菊花文輪花皿です。

阿部春弥さんインタビュー2020

阿部:高麗青磁の小さい小鉢を皿にしました。

-:お皿にしたのは、いいアイデアですね。

阿部:そのまま小鉢でもよかったと思いますが、今の自分の食卓を思ったときに銘々の盛り皿が欲しかったので、このサイズ、深さになりました。

-:高台もしっかり入っていますし、クラスが上がる感じです。

阿部:「今日はいいことあったし、お刺身でもきれいに盛ってみよう」みたいな気分で、盛り付けを楽しんでもらえたらなって思います。

-:立ち上がりの傾斜は、何か考えられましたか。

阿部:これくらいの傾斜だと、料理のおさまりがいいし、フワっと広がったように盛れるかなって。

阿部春弥さんインタビュー2020

蛸唐草を陽刻に

-:蛸唐草楕円豆皿です。
染付でよくみられるモチーフを陽刻で作られました。

阿部春弥さんインタビュー2020

阿部:蛸唐草って模様としてはインパクトありますよね。

-:控え目ではありません(笑)。

阿部:そういう文様なら、手のひらに乗るようなかわいいサイズ、でも存在感があるうつわがいいなと思い、こういうバランスになりました。
小さいけど、食卓を華やかにできるかなと思います。

-:絵付けのものを陽刻にする上で、気にされたことはありますか。

阿部:蛸唐草って緻密なイメージだし、クラシックな文様ですよね。
僕はポップな蛸唐草をイメージしました。
あと、筆の持つ軽やかさは、彫る作業には向いていないので、彫りの良さである大胆さのようなものを表現しようと考えました。

阿部春弥さんインタビュー2020

-:色々なことに使えそうです。
カレーの時に、福神漬けとラッキョウを色違いで使ってみたり…。

阿部:それ、いいですね。
梅干し一つでも。お茶の時間にチョコレートでもいいし、点心のツケダレでもいいし…。

-:いいですねえ。



このままプリンを仕込んで…

-:続いて、プディングです。

阿部:貸していただいたガラスのカスタードカップを参考にしていますが、一回り大きくしました。

阿部春弥さんインタビュー2020

-:何に使いましょうか。

阿部:最初のイメージは、食後のコーヒーでしたが、これはプリンもいけるんじゃないかと思い始めました。
このままプリンを仕込んで、鍋で蒸して、色違いのカップで出来上がってきたらすごい楽しいだろうなって。

-:楽しそうだし、盛り上がりそうです!
取っ手は釉を掛け分けています。

阿部:元々のガラスのボディがピンクで、取っ手がクリアなガラスなのが、すごく新鮮で、そのイメージを残そうと思いました。
くっきり分けずにラフな感じにしています。

-:取っ手も持ちやすいです。

阿部:今までは作った取っ手をつけていましたが、今回は付けてから取っ手をかたづくっていますので、細さと太さの強弱を、よりつけられるようになりました。
下にボリュームを持ってきているので、指の掛かりが良くなったと思います。

阿部春弥さんインタビュー2020

-:持った時の安定感がありますね。
これ、並ぶとまた、可愛いですね。

阿部:食器棚に並んでいても可愛いと思います。今日、どれ使おうかなって。

-:じゃあ、これがこんな感じになるわけですか。
食器棚にこう…。

阿部春弥さんインタビュー2020

阿部:そんな感じです。



料理を包み込む

-:陽刻唐草文しのぎ6.5寸鉢です。

阿部:見込みの文様は古伊万里を参考にしました。

阿部春弥さんインタビュー2020

-:しのぎも、広がりがあっていいですね。

阿部:料理を包み込むような感じになればいいなと思いました。

-:このサイズだと、色々使えそうです。

阿部:このサイズって、うちではよく使うんです。鍋の取り鉢や、子供なら丼物でもいけます。

阿部春弥さんインタビュー2020

-:なるほど。
鍋の取り鉢ですか。

阿部:うちは鍋の取り鉢は大きめが好みです。
あと、浅漬けや塩もみした野菜を真ん中のにおいて、みんなでつまむのにもいいかなって思います。

-:ありがとうございました。
展示会、よろしくお願います。

阿部:宜しくお願いします。





≫阿部春弥さんのうつわはこちらから≪

ページトップへ