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中尾万作さんインタビュー2018


思考回路がそれだから・・・。

花田: 今回はうつわを何点か選んでいただきましたので、
それらについてお話を伺っていきたいと思います。
これは万さんらしいし、爽やかですね。
シンプルだけど、こういうのをいやらしくなく仕上げるのは簡単ではありません。(以下花田-)

万作: そうだよ。三宅一生か万作だよ。

紀子(奥様): 自分で言ってる(笑)。

万作: お客さんに驚いて欲しいしね。

-: 万さん、個展前にいつも言いますよね「会場入ってきたときにお客さんを驚かせたい」って。

紀子: 毎回言っているわ。

万作: 驚かせるのは大事。
映画でも芝居でも、どうしてあんなに人が行くかって言うと、多少なりとも驚けるからなんだよ。

-: 全部予想通りだと、人はそこまで惹かれないかもしれませんね。

万作: 全部、予想通りだと面白くない。

-: それを何十年も続けて来ているわけです。

万作: 落語や漫才の「ツカミ」と一緒だよ。

紀子: やはり大阪人・・・。

万作: 人の心を掴みたいのは大阪人とか関係ないだろ。
どこの国の人だってそういうことはするはずだよ。

-: 万さん、他の仕事をしていても同じようにやっていたことでしょう。

紀子: 思考回路がそうなっているんでしょうね。

万作: ・・・・・。
そうやっているのが、楽しいんだ。

-: さて、ピンクなどは、焼物ではあまり見ない色です。

万作: あるにはあるけど、こういうキレイめなピンクは多くないだろうね。
それと、ピンクの部分には釉薬かけていない。

-: 釉の上に乗せちゃうとテカテカして、扁平になってしまいそうですし、こんな風に筆跡が出ないでしょうね。

紀子: 普通は筆跡が出ないように教えられて、そうするものですよね・・・(笑)。

-: 万さんは、上絵でも筆が走りますよね。
普通上絵は色を乗せていく感じです。

紀子: 普通はそう教わるんです(笑)。
万さんのは半分描いている感じ。
あの松文も白いところが出ています。
普通はダメって言われそうなことですよね。

-: 普通に焼物の世界に入ってきて、絵付けを習うような流れでしたら、こうなっていなかったかもしれないですね。

万作: そうかもね。

みんなそれぞれ

-: さて、万さん、紀子さん(奥様)、笑平さん(ご子息)3人で仕事するようになって、4、5年経ちましたでしょうか。

万作: そうだね。

-: 皆さんそれぞれタイプが違いますね。
仕事は勿論、喋る量も全く違います(笑平さんは作業中だったので、そもそもあまり会話に入れませんでしたが)。

笑平: (笑)

万作: 共同作業には色々試行錯誤の部分もあるけど、自分たちが作ったものをお客さんが喜んでくれると、自信もやる気も出てくるしね。
そもそも、何がヒットするか分からないし。

-: 作る側が「入魂の一作!」と思っているものに限って・・・

万作: だれも見向きもしない(笑)。

創作の楽しみ

-: 万さんは、ご自身の独自の世界を築かれてきました。
こうやって複数人で協働すると、様々なアイデアが出てくることになります。
それらも一緒に展開されていくのはどういう気分ですか。

万作: 広がっていくから、面白い。
もっと二人には好きなように、どんどんやってほしい。

-: 姿勢がオープンですね。
スタイルが出来上がっていると、そのスタイルを守ろうとしてもおかしくないのに寧ろ「どんどんやってよ」という・・・。

紀子: 元々、自分の持っているものも打ち壊していくほうですから(笑)。
定番は残っているけど、昔のものに戻っていくことは少ないと思います。

万作: 創作するのが、楽しいんだろうな。

紀子: 昔のものが嫌いなわけじゃないけど、また新しいものを作りたいという意欲のほうが強いよね。

万作: オレ、今73だろ。
同年代の焼き物屋はみんなポシャってきているよ。
常に新しく創作していようとするくらいが、丁度いいんだよ。

-: もー、悪気ないのに誤解されますよ(笑)。

万作: いや、本当だろ。
会社員にしたって、何をやっていたってポシャる年代なんだ。

-: 焼物の仕事だと、ゆっくりと着陸していこうというのは多いんじゃないですか。
仕事の量を少しずつ減らしたり・・・。
万さんはそうでもないかもしれませんが。

万作: いやいや、息切れながらフルマラソンだよ(笑)。
でもね、どんな仕事の人だって一生懸命仕事しているじゃないの。
それがいいんだよ。

「みんな」って誰だよ・・・

紀子: 今携帯で自分の料理を撮るから、家庭の料理も随分お互い目にするようになりました。
作る側としても参考になるし、楽しいです。

-: 真上から撮る写真も多いので、変形のうつわも目立つようになりましたね。

紀子: 輪花なんか、本当に増えましたよね。
みんな、輪花、好きだなって。

万作: 「みんな」って、誰だよ?

-: (笑)

紀子: 日本の人。

万作: 俺も、輪花あるよ。

紀子: ああいう輪花じゃなくて、縁が輪花になっているの、今のは。
しのぎが入っていたり・・・、色々なのがあるのよ。
そこに絵付けしたりして。
あの松浦(コータロー)さんのみたいに。
可愛らしい。

万作: 松浦さん、この間も遊びに来てくれて、色々話したんだよ。

-: 30歳以上も年が離れた万さんと松浦さんが仕事を対等に認め合う、っていいですね。

若手との交流

万作: 花田としては若い作り手も楽しみじゃないの?俺も「若くて面白い奴いないかな」っていつも思っている。
作者同士が競ったほうが皆、才能が伸びるんだよ。
若くて生意気な人間が、オレは好きだよ。

-: 万さん、昔は凄かったみたいで・・・。

万作: 若い頃は生意気じゃないとダメなんだ。
どうせ、年取ると角取れて丸くなってきちゃうんだから。
でも今は、女の子に気に入られようとして、率先して丸くなる。

-: 今は、内に秘めている方達が多いんですよ(笑)。

万作: そうかい。
まあ、ある程度不良をやっていて欲しいと思うけどね。
俺、不良って憎めないんだよな。

-: 万さんらしいエールですね。

トランプ柄

-: このスープボウルはいかがでしょうか。

万作: 重なりをよくするために今度は耳を横にした。

-: 最初は耳が縦でしたね。僕は好きでした。
これ、成形は笑平さんで、絵付けは紀子さんですね。

紀子: トランプの絵柄が昔から好きで、いつか文様に使いたいなと思っていました。
古九谷にもクローバーにハートを乗せたの、見たことがあったので。

万作: これは、ヒットすると思う。俺の予感では。

-: 突然・・・予感・・・(笑)。

紀子: へんな予感(笑)。

コレクション

万作: 俺、アニメの原画を一杯持っているんだ。

紀子: また、全然違う話を始めた・・・(笑)。

万作: 個展のとき、何点か壁に飾っておけないかな。

-: 面白いですね。

万作: あ、非売品としてね。

-: かしこまりました。
でも、希少なものだし「譲って」って言われるかも・・・。

万作: 非売品で。

-: はい(笑)。

紀子: できれば譲ってしまって欲しいんだけど(笑)。
もう一杯で。

-: そんな一杯あるんですか。

笑平: 凄いですよ。

万作: ちょっと持ってくるわ(と言って部屋へ)。

-: 万さんの世界のうつわ以外の部分を見てもらうのはいいですね。

紀子: 本当に良いんですか。
お客様「なに?」って思うかもしれない・・・。

-: 大丈夫だと思います。

懐かしい・・・

万作: (部屋から戻ってきて)持って来た。
こんな感じ。

-: メチャクチャたくさんあるじゃないですか。
うつわを展示する場所なくなっちゃいますよ(笑)。

万作: これ手塚治。

-: 原画ですか。

万作: そうだよ。

-: あ、ニルスだ。懐かしい。

万作: これはお菓子のパッケージの原画。
これはウルトラマン・・・。

-: 少し選びましょうか。2-3点にしましょう。

万作: そうだな。5-6点でもいいよ。

-: はい・・・ただ、あまりにバイオレンスなのはやめてもらえますか。

万作: そんなことないよ。みんなウルトラマンは知っているよ。

-: 知ってはいますけど、これ、ウルトラマンが怪獣に腕を思いっきり噛まれてるじゃないですか。

万作: これくらいが面白いよ。

紀子: じゃあ、万さんが選んで、その中から松井さんが選べばいいじゃない(笑)。

万作: そうするか。

-: アトムなんかは良いと思います。

万作: アトムはないよ。

-: あれ?さっきありませんでしたか。

万作: あー、あれね。
ジェッターマルスっていうやつで、アトムのドジョウの下の柳なんだよ。
だから、似てる。
耳の形がちょっと違うんだけどね。

-: 柳の下のドジョウ・・・(笑)。

万作: あれはヒットしなかった。
やっぱりドジョウの下の柳だな。

-: (笑)

紀子: 自分の間違いに気付いていませんよ(笑)。

万作: ジェッターマルスなんて超レアだぞ。
値段つくと思うよ。

-: 売るんですか。

万作: いや、非売品。

紀子: いつの間にこんなに集めていたんだろう。
うつわと、どっちがメインか分からなくなってしまう・・・。

よろけの楽しさ

-: 次はこの、よろけ。笑平さん作です。

笑平: サンプルで何種類か描いてみて、これが良いかなと思って選びました。
線だけにしたり、太くしたり・・・。
これが一番よろけの楽しさが出ているかなと思って。

-: 色水玉は万さんですね。
万さんらしい配色です。

万作: これからパターンを増やしていこうと思う。

30年・・・

-: 紀子さん、30年間、万さんを近くで見てきて変化は感じますか。

紀子: 作るものはどんどん変わっていくけど、基本的なスタンスは変わらないと思います。
30年イケイケで、嫌々仕事をしているのは見たことがないです。

万作: いつもハイテンション。

紀子: 仕事を、休みませんね。

万作: 仕事以外に、趣味が無いんだ・・・。

-: 最高の人生ですね。周りは大変かもしれませんが。

紀子: 万さんは私たちにそういうことを、決して強制しないけど、そういう姿を見せられるから、仕方なく付いてきたけどね(笑)。

-: なんか、いいですね。お二人。

紀子: 私は山歩きが好きだから。それが気分転換です。

万作: 今日なんかも、ああいう一生懸命なサッカーを見ると、またやる気が出てくるんだよ。
(ワールドカップの決勝トーナメント日本代表戦が終わった日でした)

紀子: 試合を見終わったあと、またそのまま作り始めていたものね。

こういうものこそ使いやすい

-: 次は面取の小鉢です。

万作: 新作だけど、こういうさらっとしたのが結局使いやすかったりするよね。

-: 面取にも個性は出ますね。

万作: 出ないよ、みんな一緒だよ。

笑平: 出ますよ。

-: (笑)。
そして、LOVE皿。

万作: 配色も全部バラバラ。配色やら構成を考えるのが楽しいんだ。
大体のイメージを持って、細かい部分の色使いなんかはその時その時で。
上絵を染付の下にくぐらせたりね。

-: どれもしっくりきていますね。
新作も色々出来てきましたので、個展が楽しみです。

万作: 来てくれた人が喜んでくれれば、うれしいね。
あとは、みんな健康第一で。

-: そうですね。
ありがとうございました。

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