林 京子「うつわの楽園」を前にして


林 京子「うつわの楽園」を前にして

キュートな文様、 何より使いやすいことで幅広い人気のある林京子さんの新作展が開かれます。
十月二日の初日を前に工房のある石川県能見市に林ご夫妻をお訪ねしました。

林京子「うつわの楽園」を前にして

工房は昔、林さんのお宅が専業農家であった頃使っていたであろう納屋を
改装して一階を作業場と窯場に二階を見本場と打ち合わせ室にしているものです。
急な階段を上がると二十坪ほどの部屋には今迄作られたうつわの見本が
所狭しと一面に敷き詰められています。

林京子「うつわの楽園」を前にして

この地にガス窯を築いていて三十有余年、その数五千は十分にあるとお二人はいわれます。
その一角に今回の新作展の為に作られた誕生間もないうつわが種別に
キチンと整理されて並べられています。
それらは膨大な数の試作品の中から私が二~三回に分けて選んだもので
それでも二百点はあろうかという力作のかずかずです。

林京子「うつわの楽園」を前にして

三十年を越える林さんとのお付き合いのなかで、いつも胸を打たれることがあります
個展を前にしたセレクションの度ごとに、よくもこれだけ大量の試作品が
作られるものだということです。
しかもそれがまた新作の持つ目新しいという印象だけではなく、ひとつひとつが
ひと工夫された魅力あるものであることです。
他の作者のことを考えても これだけの質を揃え、しかもこれだけ大量の
試作品が作られることなどそうそうありません。
一体このエネルギーは林さんのどこからきているのでしょうか。

林京子「うつわの楽園」を前にして

いつも不思議に思っている私は折に触れて尋ねます。
「よくも これだけ楽しい文様が次から次へと浮かんでくるものだね。」
すると林さんの口を衝いて出てくる返事は決まったように
「だって新しい文様を描くってホントに楽しいことよ」
「今、流行している柄なんて興味ないし気の向くままに描いてくの」
「気が付いたらいつも出来ちゃっているのよ。」
というものです。

林京子「うつわの楽園」を前にして

それでは、あの新鮮な絵心をいつもどのように触発しているのだろう。
これもまた不思議な謎のひとつです。
林さんは言われます。
「とにかく毎日を楽しんでいます。」
「仕事をしている時も 家事に勤しんでいる時も 勿論 私たちの趣味
野鳥観察に興じている時も いつも楽しむんです。」
「特に未体験のことには格別の好奇心があります。それが旅であれ、
食べる事であれ、話があれば進んで実行することにしています。」
「その時のハラハラドキドキがたまりません。
それがいつの日か陶芸の仕事の上に大きな力になってくれるのです。」

林京子「うつわの楽園」を前にして

今回の個展にはいつものように
飯碗 湯呑 フリーカップ 銘々皿 四方皿 長方皿等
日々の食卓で活躍する使い易そうなうつわが多種類出品されます。
そのうつわを飾るモチーフと言えば、日常の身の回りにある何でもないもの
花 鳥 魚 果物 野菜 はたまた 数珠 家等など
林さんのユーモラスな絵心にのせられて滑らかな線描が躍動します。

林京子「うつわの楽園」を前にして

そこはまるで「うつわの楽園」そのもの。
一年半をかけて用意された、林京子ワールドです。
是非お出かけください。


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