矢島操さんインタビュー 2019


矢島操さんインタビュー

色々な世界をきっかけとして…

花田:矢島さんがうつわ作りの仕事をするようになった経緯を教えて下さい。(以下花田-)

矢島:大学で陶芸を専攻したのが、土との関わりの始まりです。

-:なぜ陶芸を専攻したのですか。

矢島:うーん…たまたま、ですかね(笑)。
経済や語学ではなく、美術を勉強したいとは思っていました。
でも、デザインや絵画ではなく、漠然と「自分のカタチを作りたいな」と。
で、土という素材が一番柔軟な気がして、陶芸になっていきました。

矢島操さんインタビュー

-:大学はいかがでしたか。

矢島:最初短大に入学しましたが、
そこでたまたま出会った先生が、陶芸のことを教えないんですよ。
どっちかというと、(ルーチョ・)フォンタナの作品を見せてくれたり…。
「キャンバスを切り裂いただけでアートなんや!」って驚きました。
で、実際見たらとてもきれいで、繊細で、それでいて空間みたいなものも感じさせるんです。
かと思うと、違うときには、スターウオーズの要塞模型みたいなものを見せてくれました。
常にドキドキさせられたし、色々な世界をきっかけとしていっぱい与えてもらっていました。
毎日毎日知らないことばかりで…(笑)。

-:濃い時間を過ごされたのですね。

矢島:その日見たり聞いたりしたことを図書館に行って本を沢山借りて調べて…、
という二年間でした。
後から思うと、いろいろなところにネタがある、
また土の素材感の可能性を教えて頂いたと思います。

矢島操さんインタビュー

-:今でも印象に残っていることはありますか。

矢島:(アレクサンダー・)カルダーが好きでした。
私が好きなのは「サーカス」という作品で、目の前でシーンが出来ていって、
見ている側と作っている側が同じように楽しんでいるのを面白く感じました。
「いつか自分もこんなことをしたいなあ」って大学の時はオブジェを陶芸で作っていました。



「たまたま」が続く

-:卒業後は、うつわの道に進まれるわけです。

矢島:たまたま大学の先輩に五条の陶器祭りに誘われました。
せっかくの機会ですから、何を作ろうか考えました。
「自分にできることは何だろう」って。
釉薬一色ではなく、絵を描くことにしました。
呉須が好きだったので、染付です。
「濃淡だけで表現される面白い世界だなあ」と思っていたので。
うつわに絵を描くようになった始まりです。
で、その陶器祭りで、たまたまあるお店の方が「うちでやらへんか」って声を掛けてくれたんです。

-:幸先良いですね。

矢島:嬉しかったですけど「これ何個、こっちは何個お願い」っていきなり言われても「なんか騙されているのかな」なんて思いもしました。
ただ、私のものを「欲しい」って言ってくれている人がいるならそれはありがたいですよね。
納品書の書き方すら分からないけれど、とりあえず言われた通りにしてみようと。
まあ、よく考えれば、騙されていたとしても、どうってことないですよね(笑)。
で、納品後また注文がきたんです。
で、それが何度も続くものですから、うつわの仕事にどんどん入っていってしまいました。

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日常で出会うもの

-:最初は染付中心だったのですか。

矢島:しばらくは染付だけでした。
50枚全部絵柄が違う豆皿作ったり…。

-:矢島さんはそれが苦にならないのですね。
そのうち、色絵も始められます。

矢島:はい。染付、色絵、掻き落とし…ってやっていると「色々やりますねえ」って言われることもあるのですが、自分では色々やっている気なんて全然なくて、一緒のことなんです。
感じたことを自分を通して形にしていく。
ある場所に行って「明るい場所だな」とか「こういう色はきれいだな」とか「もうじき冬だからこういうの増やしてみよう」とか・・・感じるままに紙と筆と絵の具を変えているだけのことで、隔たりなくやっているつもりです。
そうしながら、自分の世界が出来てきたらたらいいなと思います。

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-:矢島さんの絵付けには色々なものが登場しますが、モチーフはどのように出てくるのでしょうか。

矢島:日常で出会ったものです。
例えばいまこういう山の中に住んでいますが「最近はモチーフに鹿が多いね」って人に言われて気が付くんです。
「そういえば、最近山に鹿が多くでていたな」って。

-:目にしたものが、自然と絵に出てくるのですね。

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日常で出会うもの

-:これからやっていきたい仕事はありますか。

矢島:旅行が唯一の趣味なのですが、旅先で出会ったことが仕事の上でかたちになっている部分もあると思っています。
何か旅と絡ませた展示をいつかしたいです。

-:楽しそうですね。展示会もよろしくお願いします。

矢島:よろしくお願いします。

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