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中尾万作さんインタビュー2019


中尾万作さんインタビュー2019

藻刈り舟

花田: 今回の新作についてお話を聞かせてください。(以下花田-)

万作:新しい型を起こしたよ。
こういう先をちょん切った箱型の舟を藻刈り舟っていうんだ。
あとレンコン舟とか、じゅんさい舟とかね。
花田の近くの千鳥ヶ淵でも、蓮とか草を取って、そういうのを詰め込んで片付けることあるでしょ。


中尾万作さんインタビュー2019

-:おさまりのよさそうな形ですね。

万作:浅いのと深いのを二種類、大きさも大小二種類作ったよ。

中尾万作さんインタビュー2019

中尾万作さんインタビュー2019

-:白磁ですか。

万作:最初は白磁で行こうと思う。

-:かたちが凝っていますからね。

万作:というか、巷には以前ほど白磁が多くないけど、白磁が好きな人は多いと思うよ。
料理人の人たちと話していても、いい白磁を探している人は多い。


白磁について

-:万さんの白磁は、トロっとしていて、味わいがあります。

万作:凛としたタイプは個人的には好みじゃないんだ。
イス灰、栗皮灰、樫灰なんかの天然の材料を使っているよ。
そうしないといい白磁は出来てこない。
「大して変わらない」なんて、そこでケチると、いいものができない。

-:そういう部分が大切なのですね。

万作:「一見、目に見えないだろう」って部分、あるだろ。
大事なのは「そこで何をするか」さ。

中尾万作さんインタビュー2019

-:さて、何に使いましょうか。まず、大きいほうは・・・。

万作:刺身かな。で、小さいほうは珍味入れ。

紀子(奥様):和菓子もいいと思います。


アイデアは直前に。

-:ピッチャーもいくつか作って頂きました。
夏場は、冷たい麦茶や水を沢山飲むから重宝しますね。

万作:今までのは片口を大きくしたようなかたちで、ソースとかドレッシングって感じだったからね。

-:ピッチャーは何か絵付けをされる予定ですか。

万作:絵付けもするね。

-:どんな絵付けになりそうですか。

万作:・・・・・・。絵付けはなんでもできるよ。

-:(笑)

紀子:万さんは、直前に出てくるから(笑)。


トリコロール

万作:今年は花田のおすすめがトリコロールになってしまったからなあ。
(今回はトリコロールの楕円皿をDMに使わせていただきました)

-:小さめのものもお願いしました。

万作:トリコロールは6-7種類あるよ。
小皿、箸置き、楕円皿は大小作ったよ。

中尾万作さんインタビュー2019

-:お客様には、それぞれの生活や食事のスタイルによって、選んでもらいたいです。
「あなたの暮らしをトリコロールにします」と。

万作:(笑)。

-:他には無い色使いなので、貴重です。


「黒」の使い方

-:そういえばこの間、日下華子さんと話していたんです。
万さん、紙風船のお皿に、黒を入れるじゃないですか。
完成品を見れば「黒が入っているな」程度にしか思わないかもしれませんが、何もないところから「黒を入れよう」という発想がすごいと思うんです。
「黒が入ると、締まるし、全体が落ちつく」なんて後出しで解説はできますが、思いついて、それをかたちに仕上げたのはさすが万さんです。

万作:それはね「失敗するか成功するか」の瀬戸際でいつもモノを作っているからなんだよ。
安定とか安全を求めたらダメ。
「うまくいかないかもしれない」なんて考えて、試すのをやめていたら何もできないし「これはこうでなければいけない」なんて最初から決めていたら、仕事が狭くなっていく。

紀子:紙風船のお皿の色は、誰も使わないような色ばかりだから。

万作:みんなは、うまくいったのしか見ていないだろ。
失敗したのが嫌っていうほどあるよ(笑)。

-:万さんくらいになると、その内失敗も気にならなくなるのかもしれません。

万作:俺だって、気にはなるよ(笑)。ただ、成功の十倍は失敗していると思う、ははは(笑)。

紀子:万さんは、とりあえず、思いついたら、やってしまうから。

万作:やってみると、そのものが上手くいかなくても、そこからヒントも出てくる。


盛り上がってDM

万作:今年のDMは面白いね。

中尾万作さんインタビュー2019

-:「今年の万さんのDMはどうしようか」って皆で話していたら、ある人が「これにバケットかなんかをそのまま乗っけたら面白いかも」って、思い付きっぽく言ったんです。
そうしたら周りが「それ、いいねー」って、言った本人より盛り上がり始めちゃって(笑)。
本人は「本当にそれでいいのか」って顔していましたけど。
近所のパン屋さんにお皿に合わせて焼いてもらいました。


江戸格子

-:こちらもすっきりしていて、目を引きますね。

中尾万作さんインタビュー2019

万作:ちょっと洒落た名前つけようと思って「江戸格子」って勝手につけたの。

紀子:勝手にね(笑)。

-:勝手につけるしかないですけどね(笑)。


仕事に漬かっていたい

-:万さん、これからやっていこうと思っていることありますか。

万作:丸一日、なんか仕事に漬かっていたいという気分になっているね。

-:今もずっとお仕事ですか。

万作:そうだよ。日曜の夕食後も仕事。

-:そうなんですね。

万作:昔、本をいっぱい読んでいたころ、リルケの詩集の中に「たくさんある時間を十分に使い果たしたい」とかなんとかいう一節が出てきて、やたらとそれが心に残っているんだ。
それが源だと思う。
人生って与えられた時間をどうやりくりして、どう使うかだろ。
結果はさておき、目一杯やっていたいんだよ、俺は。
一ケ所にいないで、沢山の色々なことをやってみたいと思う。
これだけ長くやっていたって、やっぱりやっていないことのほうが多いんだから。

-:万さんは本やら音楽やら、色々な所から影響を受けているのですね。

万作:そうだよ。だから、若いときに勉強しなきゃダメ。
若いと、何でも砂地に水がしみこむくらい入ってくるもの。
で、気づかないうちにどこかに貯まっているんだよ。


夢とか希望とか

-:これからも、万さん元気に仕事を続けていってくださいね。

万作:「あれしたい」「これしたい」という欲望がなくなって、惰性だけになったら多分ダメなんだと思う。

-:夢とか希望とか・・・そういうことにもつながっていくのでしょうか。
青臭いかもしれませんが、この仕事には必要なことだと思っています。

万作:スティーブジョブスの言葉は好きだよ(“Stay hungry, stay foolish”)。
「若いときは思いっきり貪欲に勉強しなさい」ってことだと俺は解釈している。
馬鹿だと思われたって、別にいいじゃない。


昔懐かしの・・・

-:当時の青窯の万さんの仲間たちも皆さん元気に日々を過ごされています。

万作:そうそう、面白いもの見せてあげるよ。ちょっと待っていて。

紀子:また、変なもの持ってこないといいけど(笑)。

万作:これこれ、青窯のうつわが特集されたときの40年くらい前のクロワッサン。

中尾万作さんインタビュー2019

-:きれいに保管されているのですね。

万作:たまたまだよ。

-:あれ、これ秦さんですか?プロデューサーって書いてある。

中尾万作さんインタビュー2019

万作:そうそう、それでこれが、藤塚だろ。
これが林宏初、林京子。
でホタル窯の清水、海野もいる。

中尾万作さんインタビュー2019

紀子:この長靴が万さん?

中尾万作さんインタビュー2019

万作:そう。

紀子:この頃から長靴好きだったんだ。

-:(笑)

中尾万作さんインタビュー2019

計算・・・

-:若い作家さんたちに、万さんから送る言葉はありますか。

万作:・・・。

-:ないですか(笑)。

万作:まあ、色々なことにのめりこんでほしいね。

-:「計算などせずに夢中になれ」ということでしょうか。

万作:計算してもいいけど、どうせ計算なんか追い付かないよ。

-:(笑)。

万作:それに小賢しいよ。
計算するなら、よほど計算しないと。
傍から見て計算しているように見えるようじゃ、計算が足りない。
だったら、計算なんかしないほうがいい。

中尾万作さんインタビュー2019

いつでもウェルカム

-:若手の作家さんには万さんのインタビューのフアン多いです。
勇気づけられるらしいです。
会いたがっている方も何人かいらっしゃいますよ。

紀子:その割には、なんの音沙汰もないわ(笑)。

万作:そんなこと言うなよ。

紀子:「いつでもどうぞ」ってお伝え下さい。

-:はい(笑)。それでは、展示会よろしくお願いします。

万作:よろしく。

-:笑平さんもよろしくお願いします。

笑平(長男):よろしくお願いします。

万作さんからお客様へ
万作さんからお客様へ

万作さんからお客様へ…

個展を前に万作さんがご用意くださったのは
直筆の書と箸袋です。
どちらも一枚一枚すべて手書きでご用意いただきました。
九段店舗、オンラインショップでともに
万作さんのうつわをお求めいただいたお客様にお渡ししております。
(※書の画像にあるぐい呑はプレゼントではありません)
どちらも無くなり次第終了と致します。
※現在は終了しております。


≫中尾万作さんのうつわはこちらから≪



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