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藤塚光男さんインタビュー 2018


かわいい輪花皿

花田:今回の個展に出品予定のうつわから、
いくつか選んでいただいてお話しを伺いたいと思います。
まずは、この輪花です。(以下花田-)

藤塚光男インタビュー2018

藤塚:文様はもみじです。 骨董屋さんで見せてもらった古伊万里を写しました。
見たのは4、5年前かな。 「メチャクチャ可愛いな」と思って。

-:作りはほとんど一緒ですか。

藤塚:ほぼ一緒です。 あっちのほうが絵はずっと上手いと思うけど(笑)。

-:作ってみて、いかがでしたか。

藤塚:薄手のほうがピリッとするので、かたちには気を使いました。
本歌はもっと薄手です。

-:だからこうヒラリとした感じが出るのですね。

藤塚:引き打ちなんですけど、型打ちのあと、縁は更に削り落としていくんです。
引き打ちの段階ではそこまで薄くはできないから。

-:紅葉の葉っぱの間(ま)がさりげなくて好きです。

藤塚:バランスいいよね。
昔の人は繊細で、上手いんだなあって感心しながら写していましたよ(笑)。

-:今までも紅葉は描かれていましたか。

藤塚:こんなのはあった。

藤塚光男インタビュー2018

-:最近は他でもあまり紅葉の文様見ないんですけど。

藤塚:あることはあるよ。
ただね、季節感が出すぎちゃう。
昔は季節ごとにうつわを揃えて、楽しんでいたけど、今は一年を通して使えるようなものがまず求められるんだと思う。


片身替の輪花皿

-:さて次はこの輪花です。

藤塚光男インタビュー2018

藤塚:かたちはよくあるんだけど、それを片身代わりでやってみました。

-:かたちは中国のものでもありますよね。

藤塚:ありますよ。 だから、九谷にもあるし、古伊万里にも。
何種類か絵付けもしてみたんだけど、ピンとくるのがなかなかなくてね。

-:かたちと合わないのでしょうか。

藤塚:合わないわけじゃないけど、なんかピンと来ないんですよ。
なんか…ね。

-:この輪線を二本にしたのは?

藤塚:一本じゃつまらないでしょ。

-:そうですね(笑)。
半分、濃で消されてしまいますし。

藤塚:ここに一本空間入れることで、輪花も活きてくるかなと思って。

-:うつわでは片身代わり多いですよね。漆器でもあります。
藤塚さんにとって片身代わりの面白さとは?

藤塚:シンプルで古臭くない。モダンな感じがするよね。


濃(ダミ)の面白さ

-:片身代わりは濃が半分を占めます。

藤塚:きれいに塗って、濃はにじみゼロみたいな職人さんの仕事も凄いけど、これはムラがある濃だから、面白い。

-:下書きして、あとはポンポンポンって筆をおいていく感じですか。

藤塚:そうだね。 濃筆ではなく、普通の筆を使っています。
これが濃筆。
で、僕が使っているのはこれ。

藤塚光男インタビュー2018

-:濃筆ではなく、普通の筆を使うのはなぜですか。

藤塚:こちらのほうが濃淡を出しやすいんです。
うつわがもう少し大きければ濃筆でもいいかもしれないけどね。
リズムを感じさせるような、動きがあって強弱のある濃が好きなので。

-:こちらどうですか。

藤塚光男インタビュー2018

藤塚:これは掛け分けだけど、自分はルリ釉の無地のものを使っています。
深さもあるから、結構使いやすいです。

藤塚光男インタビュー2018

-:丁度良い深さですね。


松竹梅

-:松竹梅にいきたいと思います。

藤塚光男インタビュー2018

藤塚:おめでたいでしょう。 シンプルだから面白いかなと思って。
松竹梅を、ポン、ポン、ポンて。

-:おせちの取り皿なんかにもいいですね。
あまり小さくしないで、大胆に大きく、配置されました。

藤塚:小さくコギレイにまとめると、逆にインパクトがなくなってしまうかなと思った。

-:こちらの松竹梅はいかがでしょうか。

藤塚光男インタビュー2018

藤塚:元々、古伊万里の蕎麦猪口にあった絵付けです。

-:この構図だとお皿に方向も出ないし、使いやすいですね。

藤塚:そうだね、三つ割にしておくと。

-:松竹梅も色々ですね。

藤塚:松竹梅は、季節も問わないし、皆さんに広く好んでもらえるものかなと思います。


青磁と染付

-:次は青磁の…梅ですかね、これは。

藤塚光男インタビュー2018

藤塚:梅だか、なんだか…とにかく花です(笑)。
元々は染付でしたが、スッキリするかなと思って青磁でやってみました。
これも面白いけどね。

藤塚光男インタビュー2018

-:これ、いいですね。
どちらかと言うと、僕はこっち好きですけど。涼しげで。
いや、両方涼しげか(笑)。

藤塚:それなら、両方作りましょうか。

-:ありがとうございます!
食器は偶数角のものが多いから奇数角は目に入ってきますね。

藤塚:五角って面白いよね。
この型はなにかがヒントになったわけでなくで、浅鉢を作りたかったんです。
良くあるかたちじゃないですか。

-:かたちもキレイです。


ラインを出すため…

-:次は、この三つ花。よく見る構図です。

藤塚光男インタビュー2018

藤塚:僕も結構やっている。
これは陰刻バージョンだね。素地は引き打ちです。

-:なぜですか。

藤塚:このラインを出すため。

藤塚光男インタビュー2018

-:スーッときて、横に伸び出る感じ。
少し改良したいと先ほど仰っていました。

藤塚:陰刻をもう少し太くしようと思っています。
品良くしようと思って控えめにしたら、分かりづらくなっちゃった。
まあ、やってみて、しっくりするほうにしようと思います。


アイデア、試行錯誤、ずっとやっていく…

-:藤塚さんにとって、そういった試行錯誤の時間はいかがですか。

藤塚:楽しいですよ。
いつも心がけているのはアイデアが出てきたら、すぐにやってみること。
だから、他の絵付けをしていても、思いついたらそっちを止めて、やってみるんです。
外にいて、すぐに出来ないときも、絵などをデッサンしておく。
アイデアって、出てきた時に記録しておきたいんですよ。
時間が経つとぼやけてきたり、変わってきたりしてしまう。

-:アイデアが出て、新しいもの作るとき、一回でうまく決まりますか。

藤塚:たまにはね(笑)。
いつもだと、少なくとも二回はやり直している。

-:アイデアの出方も色々なのですか。

藤塚:全然違うもの見ていてひらめくこともありますよ…
「これ、あのうつわに使えるな」なんていう風に。
30年以上も食器作ってきているから、そういう思考になっているのでしょうね。

-:この仕事の楽しみの一つですね。
自分がその気になりさえすれば具現化できる。
例えば、会社なら、自分でいいなと思っても、企画段階でとまってしまうこともあるわけです。
この仕事の場合は、全部自分で答えを出すことができる。

藤塚:できるけどさ。
でもそれ、自分が思っている次元にいかないことも多いよ(笑)。

-:(笑)

藤塚:低次元ではいくらでも具現化できるかもしれないけど「より良いもの」という意味では変わってくる。
例えば、初期伊万里が好きだったとして、一生かけて一つでも初期伊万里に肉薄できれば御の字で、ほとんどそれすら叶わないわけです。
まあ、ずっとやっていくしかないんでしょうね。
ずっとやっていたからといって、出来るとも限らないけど(笑)。

藤塚光男インタビュー2018

ふと思うとき

-:藤塚さんはこれまで、出てきたアイデアを数え切れないくらい形にしてきました。
勿論、ご自身でもたくさん使われています。

藤塚:例えばご飯茶碗なんか、日常的に使いますよね。
面白いのは、ご飯食べながら見ていると、ふと「あ、いいな」ってあらためて思うことがあるんです。

-:客観的になる瞬間なのでしょうか。

藤塚:そう、そうなんですよ。
「自分が作ったもの」ということが外れて、ふとそういうことを思うときがある。
「おっ、意外とこれいいな」って。

-:このご飯茶碗ですね。

藤塚:「このかたち、バランス取れているな」って。 自分で言うのもなんだけどさ(笑)。
ただ、そういうことはご飯茶碗や湯呑に多いね。

-:長く付き合って良さを感じるうつわ、ですね。

藤塚:これなんて、単なる平皿じゃないですか。
でも、しみじみ「いいなあ」と思うのは、このなんでもない、他愛もない、単なる平皿なのよ。
まあ結局、そういうさりげないものが飽きなくて好きなんだろうな…。

-:ありがとうございました。
個展、宜しくお願いします。

藤塚:よろしくお願いします。

藤塚光男インタビュー2018

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